首輪をつけて

結婚式の二次会が終わり、友達と別れると千香はため息を零した。瞬くネオン街で一人取り残された気持ちに、酔いが覚めていくのが分かる。
気づけば友人たちは結婚していて、千香一人だけが取り残された。周りにいい人がいないの、と友人に問い掛けられる度に笑顔が引き攣りそうになった。
どうにか堪えたことを、自分で褒めたいくらいだ。
千香のいる会社は広告会社で、千香はそこで主にデザイナーをしている。就業時間は不規則で、ここ最近は合コンの誘いすらない。
同僚に男はいるが、大抵彼女がいるか、結婚しているか、千香にとって範疇外。残念ながら年下にも興味はなく、千香としてはここ一年、彼氏というものが存在していない。
会社でもいい相手はいないのかと上司にからかわれ、息抜きに出てきた結婚式で同じこをと言われるとは思ってもいなかった。
確かに選ばないのであれば、男は幾らでもいる。でも、それなりに千香にも理想はあるし、不倫なんて大きなこともしたいと思えない。だから、ただ繰り返す日常を過ごしていた。
あーあ、何だかむなしいなぁ。日常に刺激が欲しい……。
そんなことを思ってしまうのは、街中に溢れるカップルが目につくからだ。
手には重い引き出物、美容院までいって気合い入れた格好。それら全てが滑稽に思える。
折角こういう格好しているのだから、おしゃれなバーにでも行って飲み直すことも考えた。でも、気持ち的には舐めるように飲むバーよりも、がっつり飲みたい。
だから駅前のコインロッカーに引き出物を無理矢理詰め込むと、千香は近くにある赤ちょうちんがぶら下がる飲み屋へ足を踏み入れた。
らっしゃーい! という威勢のいい声は気持ちのいいものだ。自分の格好を考えれば、違和感はあるけど、店の人も慣れたものなのなのか気にしてもいない。
だから、千香は胸元から肩に掛けて大きく開いたシャンパンゴールドのワンピースにボレロ、という格好でも気にせずカウンターに腰掛けた。
「お姉さん、何にします?」
「日本酒、置いてある?」
「それなら、今日お勧めのがあるよ。いってみる?」
「じゃあ、それをお願い。あと漬け物と、エイヒレ、刺身」
「あはは、お姉さん、いける口だねぇ。よし、一杯目はサービスしてやるよ」
そう言ってカウンターにいた大将は豪快に笑うと、すぐさま冷えた日本酒をカウンターに置いた。
小さな桶の中に氷が沢山入れられた中、ガラスの徳利とおちょこが冷やされている。面白いと思いつつ、千香は自らおちょこを手に取ると、徳利からお勧めという日本酒を注いだ。
よく冷えた日本酒はのどごしがよく、舌に刺激もない。穏やかな芳香は千香の好みでもあった。
ざわめく店内と美味しいお酒に、おつまみ。それだけで千香としては、気分も浮上していく。
一人客だからなのか、大将は適度に声を掛けてくれて、時折日本酒について教えてくれる。それもまた千香の気分を浮上させる。
けれども、酒に強いと言われる千香だが、さすがに五本目を空けたところで、酔いが回ってきているのを自覚した。
ここで美味しい酒を飲んだ時点で、手近なホテルに泊まることを考えていた。だから、終電の時間を気にする必要は全くない。けれども、ここで無様に酔いつぶれるような真似はしたくない。
程よい酔い加減に、この一本で最後にしよう。そう思って箸を手に取ったところで、隣に男が一人座った。
スーツ姿の男は、この近くで働くサラリーマンなのだろう。黒髪は短く整えられて、後ろに流してある。それがいかにもサラリーマンで嫌味がない。切れ長の目に、通った鼻筋。一目見るだけでもてそうな顔をしていると思った。
でも、千香が注目したのは、顔じゃない。カウンターの上で組まれた手だった。がっしりとした男の手は、指先が長く爪の先まで手入れされている。
男は千香と同じく日本酒を頼み、追加で厚揚げ豆腐とあさりの酒蒸しを頼んだ。どうやら、おつまみのちょいすからいって、この男もかなり飲めるタイプらしい。
酔いも回って視線に遠慮がなさすぎたのかもしれない。ふと男がこちらを向いて視線が重なる。
「すみません」
さすがに見過ぎた自覚はあったので、さきに謝ってしまえば男の引き結ばれた唇がふと綻んだ。
「いえ、構いませんよ。お一人ですか?」
「えぇ、一人呑みです。おつまみが美味しくて」
そう言って、大将がおまけでつけてくれたなすの網焼きを口の中へ放り込んだ。大将に色々して貰ったから、ちょっとした営業だ。
少し驚いた顔を見せた男は、次の瞬間、喉の奥でそれはもう楽しげに笑い出した。
「私、おかしなこと言いました?」
「いえ、いいなと思って」
男の言いたいことが分からず、眉根を寄せれば、男はゆるく頭を振った。
「咎めてる訳じゃないですよ。随分美味しそうに食べると思って」
「美味しいですから」
「私の知ってる女性は、これでもかと小さくして、美味しいんだか分からない顔をして食べている」
「それはあなたに魅力にやられて、食べ物の味まで脳に伝わらないんだと思うわ」
酔っているからなのか、いつもよりも口がよく回る。実際、顔立ちは整っていると思うけど、千香が心惹かれるのは男の手だ。
昔から千香が惹かれるのは、男の長い指先ばかりだ。けれども、心惹かれるのは指先だけで、心がついてこない。だから、付き合っても一年で別れてしまう。
心の温度が合わない、というのが正しいのかもしれない。結局、結婚話が持ち上がるとそれが如実になり、別れてしまうというパターンもあった。
そもそも、男に対して思いやりというものが足りないのかもしれない。独り身は寂しいと思うのに、相手の内面に心惹かれることはない。愛情を求められて、面倒になってしまう。
フェチズムもいきすぎれば、結婚する妨げになる。
「魅力があると言われると、それはそれで嬉しいものですね」
「ご謙遜。その顔立ちなら女性にことかかないと思いますけど」
「はっきり言いますね」
そう言って穏やかに笑う男の顔は、何故か愉しげだ。千香の態度は初対面にしては、かなり失礼だと思うけど、男が気にした様子はない。
少し雑談を交えながら、二人で酒を飲む。結局、千香はもう一本お願いし、正味六本の日本酒を胃の中に収めた。男との話は楽しいが、ここら辺が納め時だろう。
おちょこの中にあと二口分。これが最後だと思っていれば、横から男の手が伸びてきて、カウンターに置いてある千香の左手に重ねられた。
「これからの予定は?」
「ホテルに帰って眠るだけです」
男が顔を寄せ、耳元で小さく囁いた。
「あなたに興味が湧きました。あなたも、私に興味がありますよね」
囁く吐息がくすぐったい。ただ、くすぐったいだけならそれでよかった。それなのに、男の綺麗な指先が、千香の手の甲を撫でる。それだけでビクリと身体が小さく震えた。
あの指先が自分に触れている。それだけでも、心臓が落ち着かないのに、男の指先はさらにそれを煽る。なめらかで艶めかしいその動きに、千香の視線は外せない。
「もっとも、あなたが興味があるのは私のこれみたいだが」
そう言って、男が指の股をゆっくりと撫でさする。こうして指先を見ていることに気づかれたのは初めてのことだ。そして、男の指先は慣れた手つきで千香の欲望を煽る。
遊び慣れた男だと思う。普段であれば、そく席を立ち上がっていたに違いない。それでも、ここにいるのは酔いが手伝ったからだろう。
「もっと、楽しみたいとは思わないかい?」
「楽しませてくれるの?」
「君が私の指を好きだというのであれば、充分に楽しませることができると思うが」
触れている指先は手の甲を伝い、ゆっくりと手首へと移動する。手首の内側、肉の薄い場所を軽く立てた爪先で撫でられて、千香は眉根を寄せた。
「さぁ、それを飲んで店を出よう」
男に促されて、千香は目の前に残っているお酒を飲みきると、男に腰を抱かれながら店を出た。会計をする男に、千香は自分の分を払うと言ったが、男はカードで支払ってしまった。
「ごちそうさまでした」
「あれくらい別に構わない。ホテルは予約してあるのか?」
「してないわ。飲み終えたら、そこに入ろうと思ってた程度」
男に腰を抱かれながら千香が指さしたのは、駅前にあるそれなりのお値段がするホテルだった。飲みに行く、と決めた時点で、千香はそれなりに散財するつもりでいた。
つまらない日常に少しでも刺激が欲しかった。だから、滅多に入らない高級ホテルでエステやら楽しんで、明後日地元に帰るつもりだった。
「そうか」
男は腰に回した手で、ホテルへと促してくる。一夜限りの相手、というのはさすがに千香も経験はない。それなりに緊張もするが、ワクワクしている自分もいる。
フロントで椅子に座っているように促した男は、千香が座っている間に部屋を押さえ鍵を受け取る。ボーイに促され、再び男に腰を抱かれてエレベーターに乗る。
お酒がほどよく回っていて、少し暑い。けれども、男のスーツはひんやりとしていて、それが少し気持ち良い。
部屋まで案内されて、中に入った途端その広さに足を止める。背後でボーイが挨拶をして部屋を出て行くと、千香はようやく我に返った。
「私、こんないい部屋に泊まる予定じゃなかったんだけど」
男の腰に回された手が離れ、千香はゆっくりとした足取りで窓辺に寄る。かなり上階なのか、夜景が綺麗に瞬いている。
「別に君に払えとは言わない。今さらだが名前を聞いてもいいか?」
言われて、名前すらお互いに知らないことに少しだけ笑ってしまう。
「千香。あなたは?」
「基弘だ。千香、私は君に言っておかないといけないことがある。君が嫌がることは極力したくない。だから、本気で嫌な時は止めてと言いなさい。ヤダとダメは聞くつもりはない」
こんなこと、言われたこともない。見た目通り紳士なのだろう男に笑いながら、千香は来ていたボレロを脱いだ。
「分かったわ。私、シャワー浴びてくる」
脱いだボレロをソファの背もたれに置くと、その足でバスへと向かった。酔いは程よく残り、ふわふわと気分がいい。
お互いに知っているのは名前だけ。でも一夜を過ごすだけの関係なら、それだけで充分だ。名字まで知って日常に踏み込まれたくないのは、この場合お互い様だろう。
扉を開ければ、洗面所があり洗面台が二つ用意されている。それだけで、この部屋がかなりいい部屋だということは理解できた。
その場で服を脱ぐと、用意されている網籠に洋服を入れる。シャンパンゴールドのドレスを脱ぐと、少しだけ身軽になる。頭につけていた飾りを外し、洗面台へ置くと、正面にある鏡と向き合う。
千香はどこにでもいる、普通の女だ。いや、むしろ普通より若干落ちるかもしれない。それがどうしてあの男のお眼鏡に叶ったのか、不思議な気がした。
酔いの回った頭で考えたところで無駄な努力だ。そう割り切ると、千香はガラス張りの風呂場の扉を開けた。
ガラス張りの風呂場に足を踏み入れると、すぐさまシャワーブースへ向かう。風呂場の中でさらにガラス張りとなったシャワールームがあるが、余り広くない。
だが、それを補うくらい猫足バスタブは広いから文句はない。シャワーブースに入る前に、バスタブの蛇口を捻り温度を調節すると、千香はようやくシャワーブースに足を踏み入れた。
足下のタイルが酔った千香には、気持ちがいい。温度調節して頭からシャワーを浴びると、少しずつ気持ちがリラックスしてくる。
どうやら、千香が思っていたよりも緊張していたらしい。そんな自分に苦く笑うと、用意されたシャンプーで頭を洗う。
勿論、トリートメントもしっかりして洗い流したところで、不意に足下の空気が揺れた気がした。
顔に掛かった水を払い振り返ると、そこには基弘が立っていた。狭いシャワーブースということもあり、かなり密着度が高い。
「身体は洗い終わったのか?」
「……まだだけど。少し待ってたらいいのに」
「千香は私の指が好きなんだろ? この指で千香の全身を洗ってあげよう」
基弘のあの指で全身を洗われる。それを想像しただけで、背筋がゾクリとした。悪寒に似たその疼きは間違いなく快楽への入口だ。
視線の合った基弘は、口元に小さく笑みを浮かべると、出しっ放しになっていたシャワーを止める。千香の背後にあるボディソープを手に取ると、最初は千香の肩に手を触れた。
ソープの滑りを借りて、ゆっくりと千香の腕を両腕で撫でていく。指が触れているというだけで、身体の熱が上がってくるのが分かる。
一旦、腕から指先まで洗うと、指先が腕の内側にある柔らかい部分を撫でる。指の腹で撫でられると、それだけで身体が小さく震える。
同じように反対の腕も洗われると、次いで基弘が指を伸ばしてきたのは首筋だ。
「君は……指フェチだが、私はここのフェチなんだ。だから、君の視線の意味がすぐさま分かった」
「首……うなじじゃなくて?」
「あぁ、首全体だ」
掌全体を使って、千香の首筋を包み込むとゆっくりソープを馴染ませる。首筋に両手で触れられる。それは、少しだけ千香に恐怖を与える。
「幾ら好みだからって、絞め殺したりしないでよ」
「そういう趣味はない。愛でるだけだ、こうやって」
ソープのついた指が首の後ろをなめらかに上がってくる。触り方はいやらしいもので、その感覚に肌が粟立つ。
ゆっくりとうなじを伝い、そのまま耳朶の後ろまで辿り着くと、再び同じ道順を戻っていく。何気ない動作だが、あの綺麗な指だと思えばそれだけで煽られ息が詰まる。
「少し……ホッとした」
「何故?」
「私の顔や身体に……惹かれた訳じゃないって……聞いて……んっ」
「それを言うなら千香も一緒だろ。私の顔には興味すらなさそうだった」
「……そうかも」
背中を伝う基弘の指。千香が心惹かれたのは確かにそれだ。時折軽く爪を立てながら背中を伝う指は、じわじわと千香の欲望を高めていく。
零れる吐息が熱く、じらされているのが分かる。指先が背中を辿る。その度に小さく逃げうつ内に、基弘の胸板に頬が密着した。
「息が上がるのが早いな」
「だって、基弘さんの指……やらしい」
「やらしいことをしているからな」
「それに……指が……っ」
耳元で低く笑う声が身体中に響く。その声にすら反応してしまい、ビクリと身体が揺れてしまう。
けれども、基弘は全く気にした様子もなく、掌全体を使って背中を洗う。時折、悪戯のように指先で尾てい骨から背筋を撫で上げるから溜まらず、千香は小さく吐息を漏らす。
「仕事は……いつまで休みだ」
「火曜……日……」
「そうか」
囁きに近い声で返事をした基弘は、少しだけ屈み込む。そして首筋に唇が触れる。少し冷たい唇に身体が跳ねた。
それをまた笑われるけど、千香は身体の反応を止めることができない。背中を辿る指、首筋を滑る唇。時折軽く吸い上げられ、小さく声が漏れる。
まだ、肌に触れているだけで特別感じる場所に触れられた訳じゃない。それなのに、身体中の熱があがり、どれだけ息を逃がしても熱は下がらない。
「さぁ、背中は終わりだ。反対を向くんだ、千香」
息が上がる中、基弘に肩を掴まれて反対を向かされる。そうすると、ぴたりと背中に基弘の胸板が重なる。そしてお尻の少し上、そこに彼の熱を感じる。
「千香、私の指を見ていなさい」
いつの間にか瞑っていた目を開ければ、彼の腰に回っていた指がゆっくりと滑り胸に届く。そしてその指が、千香の胸の先端に触れた。
それはたまらない衝撃だった。
「あっ……んんっ」
「もう、固くなってる。そんなに私の指が好きか?」
「んっ……好き……」
指先が胸の先端の上を何度も走る。たったそれだけのことなのに、感じてしまうことが信じられない。
人差し指と中指で挟み込まれ軽く引かれると、それだけで身体に喜悦が走る。まだ触れられていないアソコから、太腿にとろりとしたものが流れ落ちていく。
「んんっ……あ……っ、……っん、あ、ああっ」
先端に爪をたてられ、我慢しようとしていた唇がほどけた。途端に喘ぎが零れるが、風呂に反響して響く自分の声に、さらに追い詰められる。
「千香……反対の指を見ろ」
言われるままに左手から右手へと視線を移せば、その指がゆっくりと身体をすべり下へ向かう。
「やっ……待って……ダメ……今はダメ……」
「少し足を開くんだ」
ダメだと思うのに、千香の足はゆっくりと開いていく。まるで基弘の指を受け入れるために開いた足の間に、基弘の指が見せつけるようにゆっくりと消える。
次の瞬間、アソコに指が触れる。途端に身体が跳ね上がる。
「やっ!」
「もう濡れてる」
「違っ! あっ……う、んっ……」
ゆっくりと男の指が滑りゆるりと撫でられると、クチュリと水音が千香の耳にも届く。
あの指がアソコに触れている。それだけで、軽くいってしまいそうなくらい気持ちがいい。アソコの突起を擦られる度に、身体中が震え膝から力が抜けていく。
「違わない。千香は私の指で感じてるんだ。今から、指が千香の中に入るよ」
「つっ……ダメっ……」
否定の声は千香が思っていたよりも小さな声だ。勿論、そんな声を基弘が聞いてくれる筈もない。
膝に力が入らなくて、正面の壁に手をつく。そんな千香の中へ、ゆっくりと基弘の指が入ってきた。
「あっ……ああっ……やっ、いっちゃう……」
アソコの奥がジンジンする。アソコが意志とは関係なくヒクヒクと喜んで基弘の指をさらに奥へと誘い、どうにもならない身体に千香はゆるく頭を振った。
「感じやすい身体だ」
「違……基弘、んの……指……だから、ああっ」
グチュリという音と共に一気に入り込んだ指に、千香は悲鳴のような声を上げる。
背後で笑う気配がしたけど、気にするだけの余裕もない。ただ、千香が追うのは中に入り込んだ基弘の指だけだ。
長い綺麗なあの指が千香の中に入っている。しかも、まだ入り込もうとしている。それがたまらなくいい。
さらに、反対の手も降りてきたかと思うと、アソコにある突起をゆっくりと擦りだした。一気にアソコから愛液が溢れ出すのが分かる。
さらに濡れた音が響き始め、耳からも刺激される。入れられたたった一本の指。そして突起を擦る一本の指。たった二本の指に千香は追い詰められる。
「やっ……も……、いくっ……いっちゃう!」
声を上げて全身を震わせると、千香は目が眩むような快楽と共に膝が崩れ落ちる。落ちる直前に、基弘の腕に支えられ辛うじて床に座り込むようなことはない。
荒い息をついていれば、頭上からシャワーが降り注ぐ。その中で千香はまだ身体の震えが止まらない。
不意に、首筋に小さな痛みが走る。
「やっ……」
キスマークなんて可愛いものじゃない。基弘の犬歯で噛まれた痛みだ。けれども、舌でざらりと舐められると、力の抜けていた身体がヒクリと震える。
「千香の首には赤い首輪が、よく似合いそうだ」
「……くび、わ?」
問い掛けた声は力のないもので、千香の頭はまだぼんやりしてその意味を理解できない。シャワーで濡れる千香のうなじを、基弘の指がゆっくりと撫でる。
ただそれだけの刺激でも、身体が小さく震える。
「それに、自分の指で翻弄される千香を見るのは、悪い気分じゃない」
片腕で千香を支えながら、もう片方の指先はうなじを左右に何度も往復する。指先が離れたと思えば、次は唇がその跡を辿る。
そして再び歯を立てられた。先ほどよりも強く立てられた歯の痛みに、千香の身体は震えた。痛いのに感じている。
腰に回した基弘の手で、強引に向かい合わせにされると、両肩を掴まれ壁に縫い止められる。
「キスは嫌か?」
基弘の問い掛けに、まだ快楽でぼんやりしたまま千香はゆるく頭を振った。
途端に唇が重なり、舌先が千香の口内に潜りこむ。貪るように口内を愛撫され、基弘の舌に千香も舌を絡ませる。
唾液が混じり、お互いの中を行き来し、飲み込めない唾液が唇の端から零れ落ちていく。
それを追うように、基弘の唇が離れると、唇のはしから顎を辿る。そして首筋まできた時、チクリとした痛みが走る。
「あぁ、すまない。つい痕をつけてしまった」
全く謝罪に聞こえない声でそれだけ言うと、基弘の舌先が首筋を舐め上げる。そのゆったりとした舌の動きが、冷めかけた身体の熱を再び上げていく。
不意に身体を離した基弘が、千香の左足を腕に掛ける。
「ベッドに」
「そうだな」
けれども言葉とは裏腹に、基弘のものが千香のあそこに擦りつけられる。まるで先ほどの快楽を思い出したかのようにアソコが、さらに奥が疼く。
「欲しいか?」
さすがにそんな生々しい言葉は言えない。だから基弘から視線を逸らせば、先端だけをクチュリという水音と共に埋め込まれる。
「あっ……」
「欲しければ、欲しいと言うんだ」
それだけ言うと、基弘は先端だけを出したり入れたりと千香を煽る。言葉にはしたくなくて、基弘を見上げれば楽しげな顔をした基弘と視線が合う。
「言うんだ」
「あっ……あっ……ほしい」
それはシャワーの音にかき消されそうなほど小さな声だった。けれども、すぐ近くにいた基弘には聞こえた筈なのに、聞こえないふりをする。
シャワーの音と共に聞こえる、粘着質な水音。アソコが疼き、基弘のものを中に入れたい。自然と揺れてしまう腰に、千香は縋るような目を基弘に向けた。
「お願い……だから」
「言うんだ」
「……欲しい……基弘さんのが欲しい」
途端に基弘のものが千香の中へ入り込んできた。まるで千香の中の感触を楽しむかのように、ゆっくりとした挿入は、千香を追い詰める。
まるでどこまでも入り込んできそうな基弘に、千香は溜まらず広い背中に腕を回した。
「ああっ……奥、に……」
時間を掛けてゆっくり奥まで埋め込まれ時、千香は再びそれだけで追い詰められていた。
「動くぞ」
「待って、あああっ」
先ほどとは違い、強く突き込まれ声が止まらない。突き上げられる度に、胸は激しく揺れ、身体中が揺さぶられる。
身体は片足の爪先しか届かず、自重で深くまで基弘を受け入れ、千香は声を上げて喘ぐしかできない。
「やっ……また、あっ……また、いっちゃうっ!」
「いけばいい。時間はまだたっぷりあるんだ」
基弘の突き上げが更に激しくなり、千香は声を高く上げて再び快楽の波に呑まれた。いく瞬間、中にいる基弘のものを締め付けたため、一瞬だけ基弘の動きが止まる。
けれども、千香が立ち直る間も無く、基弘は再び動き出す。
「やっ……待って、今は無理! だめっ!」
それでも基弘の動きは止まらず、ひくつくアソコを押し広げるようにして、再び腰を進めてくる。
さらに、左手がアソコに伸びてきて、突起を指の腹で擦り上げてきて、千香は快楽の強さに思考が飛んだ。
何を言いたいのか分からないまま声を上げ、手を置いた基弘の肩に爪を立てる。視界が明滅して、ハレーションを起こす。
「あっ、ああっ……ああああっ!」
ひときわ高い声を上げた千香は、身体を大きく震わせると、そのまま基弘の身体に倒れ込んだ。
* * *
次に目を開けた時、視界に飛び込んできたのは見たことのない立派な照明だ。身動ぎして辺りを見回せば、バスローブを羽織った基弘がソファに座っている。
身動ぎした音で気づいたのか、基弘がゆっくりと振り返った。
「目が覚めたか?」
「私……」
「風呂場で気を失ったんだ。余程私の指がお気に入りらしいな」
立ち上がり近づいてきた基弘は、手にしていたペットボトルを差し出してくる。それを受け取ると、身体を起こしてから遠慮することなく口をつけた。
喉が渇いていたこともあって、冷えた水に生き返るような気分になる。ホッと息をついて基弘を見上げれば、楽しげな顔をしながら千香の持っていたペットボトルを取り上げた。
「まだ飲むか?」
ゆるゆると首を振り、壁にある時計を確認する。チェックインしたのは、確か十時を過ぎていた。既に十二時半を回ろうとしていて、千香が思っていたよりも長い間気を失っていたらしい。
「随分寝てたみたいで、すみません」
「別に構わん。気を失わせたのは私だからな。それに夜はまだ長い」
そう言われると、風呂場での出来事を思い出してしまい、一瞬にして身体中の熱が上がる。恥ずかしさに消えてしまいたい気分にだってなる。
まさかエッチをしていて、気を失うなんてことがあると思ってもいなかった。大したことはしていない。けれども、あんなに感じたことはない。
ベッドに寝てはいたが、千香が身につけているものは何もない。けれども、首に違和感を感じて指先で触れると、そこには何かがついている。
「これ……」
「あぁ、千香の白い首によく似合う」
首に回されているのは、ペットがよくしている首輪だ。大型犬用のすこしがっちりとした首輪は、しっかりと千香の首にはまっていて、軽く引いた程度では取れそうにない。
そういえば、風呂場の中でそんなことを言っていたような気がする。首フェチだという基弘ならではの趣向なのかもしれない。
理解はできないけど、この程度であれば気にもならない。
「鎖とか……出てきたりしませんよね……」
「出して欲しいなら出すが?」
逆に問い掛けられて、慌てて千香は首を横に振った。首輪程度なら許せるけど、繋がれるのはさすがに恐怖だ。
コトリと小さな物音がして、そちらに目を向ければ、基弘が手にしていたペットボトルをベッドサイドに置いたところだった。
「さて、目が覚めたところで続きをしようか」
再び千香の前に立つと、基弘が掌を広げて千香の目の前に差し出す。
「舐めろ。千香の好きなものだろ」
長くてがっしりした指は、確かに千香の好きなものだ。舐めろと言われてもどうしていいか分からず、口に含もうとすれば指先は軽く引かれた。
「舌を出して、そうだ。見せつけるようにゆっくり舐めるんだ」
基弘に言われるままに舌を伸ばし、指を一本ずつ丁寧に舐める。普通ではありえない、そんな状況に徐々に身体が疼いてくるのが不思議だ。
指を舐める千香を、基弘が楽しげに見ている。その視線を感じるだけで、徐々に身体の熱が上がる。
しばらく千香が指を舐めていると、基弘が身を乗り出してきて千香に掛薄手の布団を一気に捲り上げる。
明るい照明の下で肌を晒すのは、今さらでも恥ずかしい。思わず千香が身を退けば、逆に基弘はベッドへと膝を乗せると、そのまま千香の上に覆い被さった。
重なる唇は触れる程度で、千香が気を抜いた途端するりと舌が滑り込む。歯列を割り、入り込んだ舌が千香の舌に絡まる。唇の隙間からクチュと聞こえる濡れた音は、それだけで淫靡だ。
頬から首筋、そして鎖骨を辿りなめらかに滑る指は、再び千香の胸へと到達する。先ほどとは違い、胸の形が変わるくらい強く掴まれ、思わず息を詰めた。その拍子に重ねていた唇がほどける。
「つっ……痛いこと、しないで」
「でも、痛いことされて千香は感じてるだろ。今の刺激で乳首立ってる」
言われて胸元に視線を向ければ、強く掴まれた指の隙間から先端が立ち上がっているのが見える。
そこに基弘は唇を近づけると、先ほどの千香のように舌を伸ばし先端を舐めた。途端にそこから、痺れるような感覚と共に背筋が軽く浮く。
両方の先端を交互に舐める基弘は、視線だけは千香から外さない。そして千香もそんな基弘から視線を外せない。
まだ始めて間もないのに、先ほどの熱が冷め切っていないのか吐き出す息は既に熱い。
口に含まれ強く吸われると、それだけで声が上がる。宥めるように再び舐めているかと思えば、時折歯を立てたりして、千香が休まる暇がない。
「やっ……基弘さん……」
トロトロに思考が溶けていきそうになる中で、基弘の指と唇は、時々痛みをつれてくる。痛みが去った後に残る、じんわりとした痺れが気持ちいい。
さんざん弄られて尖りきった先端は、いつも以上に赤くなっていて、基弘の手が離れてもチリチリとした痺れを生む。
舌が、指が身体中をまさぐり、過敏に反応した場所は幾度となく触れられた。脇腹やおへそ周り、そして太腿の内側に唇が触れた時には、大げさなほど身体が跳ね上がる。
基弘の身体は徐々に下がり、千香は大きく足を開かれた。
「やだ! 電気消して!」
「それじゃあ私が見えないだろ。千香の全てを見せるんだ」
どうにか閉じようとしていた足を固定されてしまうと、その間に基弘は身体を割り込ませる。そしてアソコへと顔を近づけた。
見られている。そう思うだけで熱いものが溢れ出る。それなのに基弘はそれだけではあきたらず、両手の指で千香のアソコを広げた。
「物欲しそうにヒクヒクしてる」
そんなことを言われたら、千香としては恥ずかしさで泣きそうになる。
「そんなこと言わないで!」
「でも、言われた途端に溢れ出した。ほら」
そう言って基弘の指が、アソコに触れる。そしてアソコに触れた指先を千香の見える場所へ翳せば、長い綺麗な指先がテラテラと光っている。
たまらなく羞恥心を煽られ、一気に身体中の熱が上がる。
「欲しくて堪らないみたいだから、私の指を入れてあげよう。千香のお気に入りだからな」
そう言って入ってきた指は二本だった。中でバラバラに動かされると、腰が跳ね上がった。
ダメなのだ、中にあるのが基弘の指だと思うだけで酷く感じてしまう。
グチュグチュという音ともに抜き差しされ、奥で時折指を広げる。二本だった指が三本になると、身体の奥がジンジンして先ほど味わった基弘のものが欲しくなる。
「どうした、腰が揺れてるぞ」
「だって……ああっ、んん……はぁ……」
「して欲しいことがあるなら言えばいい」
分かってる。風呂場でもそうだったが、基弘はわざと千香に言わせようとしてる。でも、身体中見られ、しかも顔まで見られた状態で言える言葉じゃない。
「お願い……だからぁ……」
語尾が伸びて、つい甘えた声になってしまうのは、熱い吐息のせいだ。
「言いなさい」
グチュグチュという濡れた音で、どれだけ彼の指が濡れているのか分からない。けれども、それを濡らしているのが千香かと思うと、それだけで思考が飛びそうなる。
でも、まだ羞恥心が残っている現状で口にはできない。だからそのまま視線を逸らせば、基弘が小さくため息をつく音が聞こえた。
基弘の身体で作られていた影は消える。思わず顔を向ければ、基弘は更に舌へ向けると、アソコに口付けた。
「やっ! あああっ!」
舌先であそこの突起を舐められたと思えば、きつく吸われ悲鳴のような声が上がる。更に中を指が大きく出し入れされ、千香には声を上げることしかできない。
大きく反った背筋のため、肩先をベッドに埋める。
「だめ、それだめ! いちゃう! いちゃうからやめて!!」
身体がガクガクと震え、あと少しというところで基弘の全ての動きが止まる。
「な……んで……」
荒い息の中問い掛けても、基弘が答えることはない。ただ、少しずつ荒い息が整えば、再び舌と指で刺激され追い詰められる。
二度、三度と追い詰められてはぐらかされると、千香の目には涙が浮かび、目尻から零れ落ちる。
「も……お願い……いかせて……」
顔を上げた基弘は千香の愛液で濡れた口元を、手の甲で拭うと膝裏を掴み大きく広げた。軽く腰が浮いてしまい、少しだけ苦しい。
「たまらないな」
吐息混じりの基弘の声に、千香の身体が震える。たまらないのは基弘だけじゃない。
「……く、早くっ!」
いけない苦しさから解放されたくて、羞恥心すら凌駕する。縋るように基弘に訴えれば、先ほどとは違い、一気に奥まで押し入ってきた。
「ああっ、あっ……うっ、ん……」
突き上げられるたび、千香の唇から意味のない高い声が上がる。もう声を抑える余裕なんてない。ただ、高みに登るために一切の思考が霞む。
まるで抉られるような強さに、上へとずり上がってしまう。けれども、基弘の手がシーツを掴んでいた千香の手を取り、シーツへと縫い止める。
いきたい、でも逃げ出したい。それなのに、基弘に押さえつけられ逃げられない。しかも千香を捉えているのが基弘の指だと思えば、さらに千香を感じさせる。
「あんっ、ああっ……ダメっ、もうダメっ!!」
千香の声でさらに基弘の動きが強くなり、身体中がガクガク揺さぶられる。目の前がチカチカし、全てが分からなくなる。
ひときわ高い声を上げた千香は、身体を震わせながら絶頂を迎えた。強い快楽で半分意識が飛んだ状態で呆然としいれば、軽く頬をはたかれる。
ようやく焦点が結ばれて、千香の目に映るのは苦く笑う基弘の顔だ。
「夜はまだ長いんだ。付き合って貰うぞ」
そんな言葉とともに、ズルリと千香の中から基弘が抜け出す。すっかり力の入らない身体を俯せにされ、今度は後ろから責められる。
強い快楽が怖くなり、逃げだそうとそる千香の腕を背後から掴み、さらに奥へと突き入れられ、千香は快楽を追うことしかできずにいた。
* * *
翌日、携帯の音で飛び起きた千香は、一人ベッドの上にいた。隣にいる筈の基弘の姿もなく、壁に掛かっていたスーツもない。
どうやら、千香が起きるよりも先に部屋を出たらしい。大きくため息をついた千香は、すぐに起き上がる気にもなれず、壁にある時計を見ればまだ八時だった。
大抵、ホテルというのは後払いだ。ということは、どうやら、ここを支払うことになるのは千香なのだろう。
幾ら散財する予定だったとは言えども、ここまで贅沢する予定ではなかった。
明日からの生活を考えるとうんざりした気分になるが、エッチ込みの値段と思えば気分的にマシな気がした。
少なくとも、今までしたエッチの中で格段に良かったし、文句のつけようがない。
いつまでもベッドに転がっていても仕方ないので、ベッドから起き上がった千香は微かに顔を顰めた。
エッチのしすぎで筋肉痛って……。
高校生でもあるまいし、少し情けない気もするが、あれだけ回数をこなせばそうなるだろ。内股の筋肉だけでなく、アソコの中も腫れぼったい気がする。
確かに基弘のあの指がいけない。それに、あの手慣れた感じが、さらに煽られた。
若いなぁ、私も。
そんなことを思いながらシャワーを浴びる。猫足バスタブに空になっていて、縁には足ふきマットが掛けられていた。恐らく、基弘が後片付けをしてくれたのだろう。
エッチの締めはバスタブに浸かり、そこでも基弘に攻められいってしまった。そんなことを思い出し、さらに苦く笑うしかない。
シャワーを浴びてすっきりすると、仕方なく昨日着ていたドレスを身につける。
勢いのままに一夜を過ごしたから、着替えの類は駅のロッカーの中だ。引き出物と共に、両方の荷物を回収しなければならない。
本当はもう一泊する予定だったけど、今は家に帰ってゆっくり寝たい気分だ。
だから、千香は着替えを済まし、化粧をするために洗面所の大きな鏡に向き合う。そこで首元にうっすらと首輪の痕が残っていることに気づく。薄いものだから二、三日で消えるに違いない。
ふと、基弘の質問が蘇る。休みの日を聞いていたのはこのためだったのかもしれない。その律儀さに少しだけ笑ってしまう。
結局、千香は化粧を終えると、早々に小さなバッグを持って部屋を後にした。
フロントで会計しようと思えば、既に支払い済みと言われ、正直目が点になる。てっきり、たかられたのかと思っていたが、どうやら違うらしい。
よくよく考えてみれば、基弘の身につけている物は高価なものが多かった。それに命令し慣れた口調からも、それなりにお金を持っている人なのかもしれない。
結局、近くのカフェで朝ご飯を食べ、駅のロッカーで荷物を引き取ると、大きめの鞄に入れてあったショールを取り出し首元に巻いた。ここで首輪の痕を見られても構わないが、さすがに地元に戻って見られるのは居心地が悪い。
駅構内のトイレで着替えることも考えたが、寝不足でだるいこともあり面倒になってしまう。とにかく家に帰りたい。千香の願いはその気一点で、迷うことなく地元へ帰るための電車に乗り込んだ。
足早にホテルを出てきてしまい、メールの確認すらしていないことを思い出しバッグから携帯を取り出す。けれども、覗き込んだバッグには一枚の名刺が入っていた。
会社の名刺らしく、羽鳥基弘という名前と共に会社の電話番号やファックス番号が書かれ、その下に手書きで携帯の番号が書かれていた。
けれども、千香はそのまま動きを止めた。
TTAと書かれた社名は、間違いなく千香が勤める会社の大手取引先だ。企画営業部部長という肩書きに、千香の背筋に冷や汗が流れる。
千香の会社は企画営業との繋がりが深い。だが、一度だって基弘の顔を見た記憶はない。ということは、千香のいる会社に基弘が来ることはないのだろう。
こうして名刺を置いていったということは、連絡が欲しいのかもしれないが、さすがに千香にもその根性はない。
もう一度くらい、という気持ちがない訳ではないが、さすがに会社に関わりがあると思えば、迂闊なことなどできる筈もない。
窓の外を眺めながら、千香は大きくため息をつく。手の中にある荷物が、先ほどよりもずっと重くなったような気がした。
The End.

Post navigation